中野成樹+フランケンズ
『マザー・マザー・マザー』
演劇
2018年12月1日[土] 18:00開演、2日[日] 15:00開演 ※開場は開演30分前を予定
会場|京都市呉竹文化センター ホール
不条理演劇の上演を通して切り結ぶ、
この街と「その街」のいま

東京を拠点に活動し、国内外の名作戯曲を現代の自分たちの身体に大胆に移し/映す上演で定評を得る中野成樹+フランケンズ(通称ナカフラ)。日本における不条理演劇の第一人者・別役実が約40年前に書いた戯曲を引っさげ、京都での初公演に挑む。実際に起きた事件をモデルにした、「パパとその街」と名乗る集団の形成と崩壊をめぐる物語は、「街」とは何か?「集団」とは何か?を問いかける。東京と京都の距離を眺めつつ、ナカフラ演じる「パパとその街」が、“よそ者”として伏見の「街」を訪れる。

作|別役実
演出|中野成樹
ドラマトゥルク|長島確
出演|竹田英司、田中佑弥、鈴鹿通儀、福田毅、洪雄大、斎藤淳子、北川麗、佐々木愛/新藤みなみ、春山椋、三橋亮太

照明|高橋英哉
音響|滝沢直紀
舞台監督|佐藤恵、大鹿展明
スタッフ|東彩織、水渕歩知
地域ドラマトゥルク|弓井茉那、吉水佑奈
協力|山吹ファクトリー

伏見不条里マップ配布会

12月1日(土)15:00〜16:00/2日(日)12:00〜13:00 呉竹文化センター内
*地域ドラマトゥルクチームが独自に作成した、「伏見不条里マップ」の配布・説明会をおこないます。早めに来て開演まで地図を片手にまちを散策してみてください。

演出ノート

今年のナカフラは、私の体調もあり、
これまでと比べ少しスピードを落としています。
とりあえずは一本、丁寧につくろう。
そう思い、12月の京都伏見区に照準を定めました。

この『マザー・マザー・マザー』は、平成についての物語です。

もちろん、書かれたのは1979年(昭和54年)ですし、
作品のモチーフとなったのは、人民寺院というカルト教団が、
1978年にガイアナでおこした集団自殺(900名以上)です。
ですが、どうしたって“平成の見取り図”にしか思えない。

それは、作中に「パパとその街」という名の、
“新興宗教団体”が登場するからというだけではありません
(ちなみに教祖は目が不自由なのかサングラスをかけています)。

これは、「失われた家族」と「自立・自律」の間に揺れ動く、
「居場所を奪われた人々」の話です。

もしこれが平成の物語だとするならば、
結末はまさに私たちが置かれている「いまそのもの」でしょうか。
そして、そこには覚悟、あるいは希望が描かれている。

京都市伏見区の呉竹文化センターという、
「つくられたど真中ではない場所」での上演は、
その覚悟と希望に強い力を与えてくれると信じています。

2018年10月15日 中野成樹

中野成樹+フランケンズ|演出家・中野成樹が率いる日本の現代演劇カンパニー。東京を拠点に活動中。時代・文化風習等が現代日本と大きく異なる、いわゆる「翻訳劇」をとりあげ、「いまの自分たちの価値観と身体」で理解し体現する。逐語訳にとらわれない翻訳、あらすじのみを死守する自由な構成、従来のイメージやマナーにとらわれぬ私たちの物語としての作品解釈、その方法・表現を「誤意訳」と名付け、シェイクスピア、モリエール、チェーホフ、ブレヒト、別役実、等多くの作家を扱っている。またそのほか、動物園、美術館、まちなかなど、劇場外での” 応用演劇活動”も積極的に展開。2017年には、千葉・松戸のまちなかに散らばる会場を観客が移動し、現代の捕物帳を目撃する「半七半八(はんしちきどり)」(フェスティバル/ トーキョー17)を発表、評判を呼んだ

長島 確|日本におけるドラマトゥルクの草分けとして、さまざまな演出家や振付家の作品に参加。近年は演劇の発想やノウハウを劇場外に持ち出すことに興味をもち、アートプロジェクトにも積極的に関わる。最近の劇場作品に『それからの街』(鳴海康平演出)ほか。劇場外での作品・プロジェクトに「アトレウス家」シリーズ、『長島確のつくりかた研究所』(ともに東京アートポイント計画)、「ザ・ワールド」(大橋可也&ダンサーズ)、『四谷雑談集+四家の怪談』(F/T13、中野成樹と)、『←(やじるし)』(さいたまトリエンナーレ2016)、『半七半八(はんしちきどり)』(F/T17、中野成樹+フランケンズ)など。『新訳ベケット戯曲全集』(監修・共訳)が刊行中。2018年よりフェスティバル/トーキョーのディレクターに就任。