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呉竹文化センター

2017年6月にスタートした「まちの見方を180度変える ローカルメディアづくり~CIRCULATION KYOTO(サーキュレーション キョウト)~」。伏見チームは、総勢11人のメンバーでスタートしました。

このプロジェクトは、紙やウェブにとらわれない、いままでにない新たなローカルメディアを作っていくことを目指します。
ディレクターの影山さんは、ワークショップの中で、ローカルメディアを「異なるコミュニティをつなげるための手段」だとお話しされていました。

「最終的に自分たちの作った構想案を200名以上入る会場で発表する」
スタートしたとき、多くのひとに向けて発表することを想像すると少し恐ろしかったです。
と言いつつも、このチームで、今まちにあるものを新たな視点から見て、まちの魅力を掘り起こすことでローカルメディアを作りあげていこう!という想いで活動しました。
8月の公開プレゼンに向けて、まちあるきや聞き取り、リサーチを繰り返し、ちょっと斜めな視点からまちを見直すことを意識しました。

毎回、ワークショップの中で各チームの発表を聞くことで、考えを深める機会が多くありました。

では、プロジェクト前半の感想やエピソード、またプレゼンを終えた後に取り組んでいること、今後への意気込みを書いていこうと思います。

ワークショップの中でディレクター陣からは、
「フィルターとしてのエッジの象徴となるものを見つける」
という宿題が提示されました。

フィルター?エッジ?
伏見チームは、まちあるきをしながら地域特有のキーワードを見つけるため、チームメンバーで伏見でフィールドワークを繰り返しました。
そして私たちは、「川」がフィルターとなり、「舟」がメディアとなり伏見という場所を成り立たせていると考えました。
伏見を象徴するとも言える十石舟を用いて、船上マルシェを開くなどして、昔の伏見や大阪・伏見間の物流がよみがえるようなものにならないかなあなど、メンバーと共に伏見を歩きながら考えました。

メンバーが集まって伏見を歩きました。

別の日には、伏見のまちづくり団体「ぴあぴあコミュニティサポート合同会社」の藤崎さんにインタビューを行いました。
伏見桃山界隈のまちの雰囲気、地域活動をしている他の団体の情報、伏見の歴史的背景、巨椋池の話、川魚文化、桃、商店街、遊郭、川、舟、伏見の野菜、日本酒などなど話題は尽きず……。
3時間近くヒアリングにご協力いただきました。

ヒアリングに行くまで、チーム内で地域の必然性に関する裏づけや「伏見ならではの何か」をなかなか見つけられず、もやもやしていました。
ですが、藤崎さんのお話を聞くことで伏見に関する知識がより深まり、メンバーそれぞれの「伏見愛」も見えてきました。

プロジェクト第3回目のワークショップでは、各チームがプロジェクトに参加しているメンバー全員に向けてプレゼンを行う時間がありました。そこでは、取材に行ったメンバーが、伏見地域で活動していらっしゃる食育キッチンの石黒さん、月見館の南さん、山本本家の山本さん、東部農業振興センターの石田さんにインタビューしたときの様子を報告したり、まちあるきをしたときの写真など用いてチームの活動報告を行いました。

この日は、ディレクターの影山さんから、メンバーの特性を活かしつつ、チーム内の役割分担決めを段取りよくしてくださったので、各々の動きが明確になり良かったです。

レクチャーでもお話いただいた中書島繁栄会の北澤雅彦さんにもお会いしてきました。

発表にむけて構想案の内容が明確になりつつあるなか、ディレクター陣からのアドバイスもあり、私たちの構想案の象徴とも言える「舟」を段ボールで制作することにしました。

1m×1mの段ボール紙から型をとってカッターで切り出し、成型していくことで、立体的な「舟」のかたちになっていく過程は、やっていてとても達成感がありました。 なんとか、かたちにすることができて、本当に良かったです。

ついに迎えた、公開プレゼン前の最後のワークショップ。
午前中は、ディレクターの方々を前にプレゼンの練習をしてフィードバックをいただきました。

また、午後からは月に一度だけ開くフリーペーパーのお店「只本屋」の運営をされている山田さん、「京都移住計画」の活動をされている不動産プランナーの岸本さんをゲスト講師にお迎えして、午前中にいただいたフィードバックで練り直したプレゼン案を見ていただき、アドバイスをいただきました。

午前中にご指摘いただいた点を改善するつもりで削った部分が、逆に少し流れや内容を見えにくくしたりする結果になり、午後のプレゼン後に、再びチームで話し合ってスライドの順番を入れ替えたり、スライドを増やしたり減らしたりする作業を繰り返しながら、内容をブラッシュアップしていきました。

途中、ディレクターの1人である編集者の上條さんから、かなりの神がかったアドバイスが降りてきて、なんだかつっかえていたものが、スッキリと水で流されたようにきれいに整理整頓されて、外はもう真っ暗な時間帯、プレゼン案がほぼまとまったのでした。

公開プレゼンの8月6日(日)。
ウィングス京都で13時よりスタートするプレゼンで、伏見チームは14時から、2番目の発表。

今回のプロジェクトでチームが考えたローカルメディアは、
伏見の三十石舟をモデルにしたカーゴバイク、名づけて「伏見m.a.a.r.(ふしみまーる)」。

伏見のまちを、伏見m.a.a.r.が回遊することで、まちのなかに新しいコミュニティが生まれるきっかけになったり、伏見のなかとそとのひとが出会う場をつくりだします。
また、点と点で活動する伏見の個人、団体の方を面でつなぎながら、伏見「らしさ」を発信したりする、そんなローカルメディアです。

公開プレゼン後は、メンバーそれぞれが持つ個人的なつながりによって、類似した先行事例を展開されている団体や個人にお話をお伺いしに行ったり、公開プレゼンの動画をご覧いただきフィードバックをいただいたりしました。
また、地域で活動されている団体のお集まりに参加したり、公開プレゼン後にも活発に活動しています。

現在3人がコアメンバーとなって活動をしています。
後半のメディアづくりは前半と違って、チームのテーマに沿った個人個人の動きが、より必要になってくるかと思います。
伏見地域の課題と自分の関心ごとをどんな風に重ねて、動いていけるのか。
じっくり考えつつ、これからも進んでいきたいと思っています。

文・堀家沙里 (伏見〈呉竹文化センター〉チームメンバー)

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伏見チームのプレゼン映像はこちらから
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8/6(日)に公開プレゼンテーション・ディスカッションを行いました。
6月からの1ヵ月半の間に全5回のワークショップ、レクチャーと連日の自主活動を経て、各チームが生み出した構想案をいよいよ発表です!

前日(8/5)は、不動産プランナーの岸本千佳さん、「只本屋」代表の山田毅さんのふたりをゲストにお迎えし、プレゼンリハーサルに対するフィードバックをしてもらい、最後の追い込みをかけました。そしてプレゼン当日。各チームの発表に先駆けて、プロジェクト・ディレクターの影山がこれまでのワークショップの振り返りと、プロジェクトのコンセプト(詳しくはこちら)について説明しました。

人と人をつなぐローカルメディアとは

京都市内の5つの区ごとに5つのチームに分かれ、それぞれの地域で最適なメディアを構想するサーキュレーションキョウト。本プロジェクトの特徴は、いわゆる紙やウェブといった一般的にイメージされる「メディア」ではなく、人と人をつなげ、相互に交流する「媒体」としてのメディアを制作するところにあります。

さらに、発行して終わりではなく、今後も地域に残っていくメディアを目指して、「発想の斬新性」「地域における必然性」「運営の継続性」「資金の調達方法」という4つのポイントを重視しプランをブラッシュアップしてきました。今後は、この日に発表されたプランを元に、2018年3月に向けて実際に制作をスタートします。

こちらのレポートにある通り、本プロジェクトの対象エリアはまさに都市のエッジにあり、洛中と洛外を結ぶ歴史的にも重要な役割を担ってきました。各チームはこうした地域の歴史性を掘り下げ、キーパーソンへのヒアリングを元に「ローカル」の種を見つけ、その地域ならではのユニークな「メディア」を考えてきました。

右京チーム:post百人一首

トップバッターの右京チームは、小倉山で生まれた「小倉百人一首」を古来から右京エリアに存在する「メディア」と捉え、地域に潜在している課題を表面化させるような仕組みを構想。電話を使った投稿例、短歌会のデモンストレーションなど凝った演出でお客さんを沸かせました。

右京エリアは、かつての平安京の左端にかかっており、貴族が避暑などでよく訪れていたそうです。都の喧騒から離れて、歌を詠むという文化がこの地域から生まれたのは必然だったかもしれません。実際、まちなかやお寺には歌碑がたくさん建てられています。歌碑は、貴族たちが残したものではなく、小倉百人一首を愛する人々によって後年建てられたもの。まちあるきをした右京チームは、この親しみやすく、伝播力のある「短歌」に着目します。

また、百人一首を取り上げた理由は、単にそれが右京エリア発祥だからというだけではなく、江戸時代に入り木版印刷が発達すると、かるたなどの遊戯を生み出し、また和菓子にも影響を与えるなど、様々な文化のアイデアソースになっているからでした。

一方、現代はインターネットなどテクノロジーが発展した時代です。この時代にふさわしい短歌の投稿の仕組みを考えられないか。そこで彼らは、若い世代向けにはツイッターを使って、年配の方には既存の紙メディアを通して、こっそりと投稿したい人に向けては留守番電話というツールを使って、様々な世代の方が短歌を投稿できる仕組みを提案しました。

今後は、既存のローカルメディア(右京じかんなど)やショートツアー(まいまい京都)などのサービスと連携し、地元の企業の協賛を募って定期的に短歌会を開催し、「うたのまちうきょう」というアイデンティティをこの地域に定着させたいと意気込みます。

伏見チーム:伏見m.a.a.r(マール)

大阪と京都をつなぐ日本最大の河川港湾として栄えた伏見は、三十石舟という船が淀川の水運を利用し大阪ー伏見間を活発に往来していました。大阪から人、海産物、年貢等の物資が京都に運ばれ、一方、伏見からはお酒や伏見人形などの名産品(文化)等が大阪を経由して全国に運ばれました。この地域もまさに、文化とモノの経由地だったのです。

しかし、時代とともに鉄道など陸用交通機関にとって代わられ、運河の機能は衰退していきました。そこで、人や文化、モノが往来する「港」を現代に蘇らせることはできないか、と考えて生まれたのが「カーゴバイク」というメディアでした。

このプランがユニークなのは、船に見立てたバイクの前面が開閉式になっているところです。蓋を閉めればテーブルになり、料理やお酒を楽しんだり、名産品を売ることができます。蓋を開ければ、それらの商品をしまって別の場所に移動できる。まちかどのあちこちに停泊した「伏見m.a.a.r」の周りには、世代も出自も様々な人々が集まってくることでしょう。

さらにこのチームは、現代版三十石船として、かつての運河沿いにレールが敷かれた京阪電鉄に注目します。しかし、大阪と京都を結ぶ京阪電車の利用者は、伏見を通過していってしまいます。そこで彼らは、数多くのスナックが集積する呑み屋街・中書島の駅にある、普段、早朝と深夜しか使われてないホームに着目しました。

ここに「伏見m.a.a.r」を設置して、中書島のスナックのママに、「昼のママ」になってもらったらどうだろうか。まかない料理やつまみと伏見のお酒を提供し、それを目当てにした酒好きが、通過せず伏見に降りるようになったら……そんな夢のあるプランを発表してくれました。

北チーム:振り継ぎ

京都市の北に位置する北区は、金閣寺や上賀茂神社などの観光資源があり、市街地にはバスターミナルがあるなど、比較的中心部からもアクセスしやすい街です。しかしちょっと北に上がれば山があり、北山杉などの名産品もあります。

このチームがローカルテーマとして注目したのは、「振り売り」という野菜の移動販売の仕組み。なんと、京都市内の全113件の振り売り農家さんのうち、98件が北区なのだそうです(チームメンバーが書いたこちらの記事も参照のこと)。

振り売りは、単に商品の売り買いをするだけではなく、地域のお年寄りの安否確認などの情報交換をする機能も持っていました。そこで北区チームは、こうした人と人、情報が活発に交換される「振り売り」というローカルテーマから、まったく新しい「振り継ぎ」というメディアを考えました。

振り継ぎの仕組みはちょっと複雑です。まず、地域のお年寄りから、二十歳の頃の自分に贈りたい「モノ」と伝えたい「メッセージ」を振り継ぎチームが預かり、現在の二十歳の若者に届けます。そして、自分が欲しいと思っていたモノを受け取った若者は、未来の自分から受け取ったと仮定して、感謝の気持ちを手紙に仕立てます。

重要なポイントは、お年寄りと若者がモノとメッセージを直接やりとりするわけではなく、「振り継ぎチーム」が仲介に入るということです。また、区内の飲食店や空き店舗に「振り継ぎステーション」を設置し委託したり、特設ウェブサイトにインタビュー記事をアップするなどして、プロジェクト自体に親しんでもらうための工夫も考えました。

山科チーム:やましな通勤通学家族

4番手に登壇したのは、京都の東側、山に囲まれた山科区のチームです。滋賀と京都の間にあり、伏見と同じく独自の文化圏にある山科にふさわしいメディアとはいったい、どんなものが考えられるでしょうか。

山科チームは琵琶湖疏水という水のインフラ、そして牛車の往来がしやすいようにと車石が敷かれた街道のインフラに着目しました。そこに、近代以降に敷設された鉄道網というインフラを重ね合わせてみます。すると、JR・京阪・地下鉄が乗り合わせているにも関わらず、どれも始発駅ではない、つまり現代においても「通過される」まちという宿命を背負っている山科の特殊性が見えてきました。

そこでこのチームが提案するのは、山科を通過する通勤者、通学者に向けたメディアです。キャッチコピーは、「通過される町からツーカーの仲になる」。通勤、通学で利用する人に、1、2時間降りて山科を歩いてもらうにはどうすればいいか? というプランです。

具体的には現代もまちなかに残る「車石」を探すツアーだったり、国内で100パーセントの生産を誇る「砥の粉」という、金継ぎに利用される材を利用し、まちなかに点在する「飛び出しぼうや」を磨くワークショップなどを開催します。

さらに、これらワークショップを体験する会員向けの「鍵」サンプルをつくったり、鉄道広告やDMなどのツールを実際に印刷して配布するなど、本格的なプレゼンでゲスト講評者を驚かせました。

西京チーム:たけにょんwifi

最後に登場したのは、京都の西側に位置する西京区を対象にしたチームです。西京区は、ディレクターチームがワークショップ開始前よりリサーチを行い、注目していた洛西ニュータウンのある地域です。

全国の他の地域のニュータウンもそうですが、この洛西ニュータウンは、いわば「昭和のエース」でした。いまでは珍しくありませんがバリアフリー化されており、整備された緑道が団地の隙間に点在しています。しかし今は、少子化、空き家の問題を抱えています。これは全国どこでも一緒です。しかもここではwimaxがつながらない。これは辛い。そこで彼らが提案したのは……。

なんと彼らは、西京区がここ数年推している、公式ゆるキャラの「たけにょん」を連れてきました。竹林が広がる西京区ならではの鉄板のキャラクターです。これには観客も騒然。区内だけではなく中心部にも足繁く通い、京都の人にも馴染み深い(?)このたけにょんに、西京チームは何をさせたいのでしょうか。

突然、舞台が暗転し、たけにょんの頭上が光りはじめました。たけにょんの頭上には、wifiを受信するアンテナが設置されています。そう、彼らは、区内を周回するたけにょんに、wifiの機能を持たせようと考えたのです。

もちろん、wifi電波を発信するたけにょんを一人寂しく歩かせるだけではありません。たけにょんの側には、「たけにょんポーター」というスタッフが取り巻き、wifiを求めてやってくる区内の住民にスマホやタブレットの使い方を教えます。また、運良く、普通のたけにょんじゃなくwifi付きのたけにょんに出会った人には、回覧板型スマホケースという、アナログとデジタル、オールドメディアと最先端メディアを融合させたツールを配るのだそうです。

3月に向けてどのようにプランを修正していくか

これら5つのプランに対して、伊豆田千加さん、井口夏実さん、兼松佳宏さん、竹田正俊さん、幅允孝さん、吉岡洋さんの6名のゲストが手厳しくも暖かいコメントをそれぞれしてくださいました。

まずは、プレゼンの完成度の高さ、そして小芝居の面白さに対して感心してくださいました。でも、これは中間発表であって、実際に出来上がった時に、本当にそれでいいのかはまた別の問題です。

実際、地域のどんなプレイヤーと組んでいくのか。本当に、発表者自身が継続的に関わりたいプランなのかどうか。事業を立ち上げるのは簡単だが、潰した時に責任を取れるのか……参加者が考えてもいなかった鋭い指摘が飛び交いました。こうした講評を受けて各チームプランを修正し、3月のメディアの実装を目指して突き進んでいきます。

各回のワークショップにレクチャー協力をしてくださったキーパーソンの方々、そして、今回の発表までにインタビューやヒアリングなどでご協力いただきました地域の方々に、心よりお礼申し上げます。

このプレゼンテーションの様子は、近日特設ウェブサイト上で公開します。各チームの発表をご覧いただき、今後の実現へのご支援を賜れましたら幸いです。ひきつづき、サーキュレーションキョウトにご注目くださいませ。

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ローカルメディアづくりワークショップ 4
ディスカッション&公開講座
「地域の課題と魅力を可視化する企画力」

会場|ロームシアター京都
日時|8月5日(土)10:00〜12:00/13:30〜17:00
講師|影山裕樹、加藤賢策、上條桂子、榊原充大
ゲスト講師|岸本千佳(不動産プランナー)、山田毅(只本屋 代表)

10:00〜12:00
・全5チームの全体へのプレゼンテーション

13:30〜17:00
・ゲスト講師及びディレクターからの個別レクチャー
・チームごとのディスカッション

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プレゼンテーション&ディスカッション
「新たな“移動”を促すローカルメディアのかたちとは」

日時|2017年8月6日(日)13:00~17:00
会場|京都市男女共同参画センター ウィングス京都 イベントホール
ゲスト|
伊豆田千加(NPO法人子育ては親育て・みのりのもり劇場理事長)
井口夏実(学芸出版社編集室長)
兼松佳宏(勉強家、京都精華大学特任講師、元「greenz.jp」編集長)
竹田正俊(株式会社クロスエフェクト代表取締役)
幅允孝(ブックディレクター)
吉岡洋(京都大学こころの未来研究センター特定教授)
主催|
公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団(ロームシアター京都、京都市東部文化会館、京都市呉竹文化センター、京都市西文化会館ウエスティ、京都市北文化会館、京都市右京ふれあい文化会館)、京都市

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写真 前谷開

「伏見」と聞くと、伏見稲荷や酒蔵のある町並み、日本酒の名産地、あの坂本龍馬が泊まっていた寺田屋のある場所、というイメージが浮かんできませんか?
私も、CIRCULATION KYOTOに参加して、6月に伏見のリサーチをスタートさせるまでは、そうでした。

ワークショップの中で地域のキーパーソンから伏見に関する歴史的なレクチャーを受けたり、資料を集めて読んだり、フィールドワークしたりして、伏見についてのリサーチを深めました。
特に、「京都の中で」伏見はどんな存在であるのか、に着目しました。

伏見は、日本最大級のの河川港湾で、伏見から京都市内へと続く高瀬川という川があることが分かりました。
様々な人やモノが往来する土地だということが分かりました。
また、その高瀬川が運河となり、様々な物資を京都の中心部へ伏見から舟で運び込むという、いわば「物流の要」という地域性を持っていたのです。

このことをキーパーソンの若林さんは「伏見は京都の腎臓である」と言っておられたことに私たちは印象を持ちました。

私たちはこうした伏見の地域性を象徴する「舟」と、伏見に根付いている、水、酒、野菜なを含む食文化と、その食文化に関わる人たちを掛け合わせて、構想案を練っています。

特に印象的だったのは、6/25に開催された奈良文化財研究所の惠谷浩子さんからの特別レクチャーを受けたことでした。
そこで伏見チームのリサーチはより一層深まったと思います。

特別レクチャーでは、今CIRCULATION KYOTOでテーマにしている地域こそが、京都の都市部の営みを成り立たせるためのフィルターになっている、という考え方を教えていただきました。
そこで、伏見のみに焦点を当てて考えるのではなく、「京都の中で伏見はどんな役割を持っているのだろう?」という問いが生まれ、そこから京都全体と伏見の関わりを意識しながらリサーチを進めることができたと思います。

また、ディレクターチームとやりとりの中で、伏見が持つ地域性の象徴として「舟」を考え、その必然性をリサーチを基にして考えることができました。
現在は、8/6に向けて、実際のビジュアルイメージなどのデザイン面についてもディレクターと共にブラッシュアップを重ねています。

(ディレクターの影山さんとまち歩き)

6月から今まで、メンバーは、幾度となく伏見に出かけて、伏見に住む様々な人にインタビューをしてきました。

すでに、伏見のキーパーソンである方々とは、顔見知りにもなれていると思います!

(左端に座っているのは、第1回ワークショップでもレクチャーをしてくださった中書島繁栄会の北澤さん。)

こうした、地域の人たちに入り込んで行くフットワークの軽さが伏見チームの良さだと私は思っています。

8/6のプレゼンテーションでは、構想案を見た人が思わず私たちのアイディアに関わりたくなるような気持ちになってもらえたらいいなと思っています!!

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文・下寺孝典 (グループサポーター/呉竹文化センター〈伏見区〉チーム担当)

\\ CIRCULATION KYOTO始動 //

6/17に初回のワークショップを行いました。
参加者、ディレクター、運営チーム、グループサポーター、各文化会館の副館長……。
CIRCULATION KYOTOに関わる全員が集合!!
全員で、3つの文化会館を巡りながらワークショップを進めました。

まずは、東部文化会館から活動スタート! 5つのエリアごとに集まり、参加者の自己紹介ワークショップをしました。初対面にも関わらず、早速お互いの共通点を見つけるなど、盛り上がりました〜。
続いて、東部文化会館のある山科区のキーパーソンにお話を伺いました。鏡山次郎さん(山科ふるさとの会代表)と、佐藤友一さん(京都市まちづくりアドバイザー)にお越しいただき、山科の歴史や魅力、まちづくりの実践例、そして地域の課題などお話いただきました。みんな真剣です。

午後からは、北区にある北文化文化会館に移動!

北区のキーパーソンである、古川豪さん(京都市北いきいき市民活動センター長)と、西原秀倫さん(京都市まちづくりアドバイザー)にお話を伺いました。古川さんはギター片手に熱唱!!

そして息つく暇もなく、伏見区にある呉竹文化センターへ。

呉竹文化センターでは、伏見区のキーパーソンである、若林正博さん(伏見城研究会)、北澤雅彦さん(中書島繁栄会)のお二人にお話を伺いました。その後、全体でローカルメディア構想に向けたグループワークを行いました。カードを使ってなにやらみんなで話し合っている様子......。
「ローカル」に関するキーワードと、「メディア」に関するキーワードを混ぜて、様々な組み合わせを考えていきます。幅広い世代のチームメンバーということもあり、最初は探り探りで話していたみなさん...この時間になると、お互いの緊張もかなりほぐれてきた様子で、どんどん話し合いが進んで行きます!
で、どんなカードの組み合わせが出てきたかチームごとに全員に向けて発表!! なにやら怪しげで、奇想天外な組み合わせも……!?
各チームからの発表を受けてディクレクター陣がコメント。8月の公開プレゼン、そしてメディアの具体的な実現と発足に向けて、様々な角度からコメントとアドバイスをしていました。

3箇所(!!)の文化会館を参加者全員で巡りながら、各エリアのキーパーソン6名の方にお話を伺いました!

電車での移動中やワークショップ終了後も、同じチームで集まって作戦会議を熱心にしている姿が印象的でした。早速、自主的に担当エリアのフィールドワークに出かける計画を立てたチームも!!みなさんがどんな地域の魅力を見つけてくるのか今からワクワクです。

次回は6/25(日)の「ローカルメディアワークショップ 特別編」です。
奈良文化財研究所の惠谷浩子さんをお招きして、特別レクチャーをしていただきます。楽しみです!

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ローカルメディアづくりワークショップ 1
オリエンテーション&レクチャー&インタビュー
「新たな“移動”を促すローカルメディアのかたちとは」
会場│京都市東部文化会館⇒京都市北文化会館⇒京都市呉竹文化センター
日時│2017年6月17日(土)10:00~12:30/14:00~18:00
講師│影山裕樹、上條桂子、加藤賢策、榊原充大

@東部文化会館(山科区)
・チームごとに自己紹介
・ローカルメディアレクチャー 1 影山裕樹/プロジェクトディレクター
・キーパーソンレクチャー|山科 1 鏡山次郎さん/山科ふるさとの会代表
・キーパーソンレクチャー|山科 2 佐藤友一さん/京都市まちづくりアドバイザー
@北文化会館(北区)
・キーパーソンレクチャー|北 1 古川豪さん/北いきいき市民活動センター長
・キーパーソンレクチャー|北 2 西原秀倫さん/京都市まちづくりアドバイザー
@呉竹文化センター(伏見区)
・キーパーソンレクチャー|伏見 1 若林正博さん/伏見城研究会
・キーパーソンレクチャー|伏見 2 北澤雅彦さん/中書島繁栄会
・ローカルメディアレクチャー 2
影山裕樹/プロジェクトディレクター、榊原充大/リサーチディレクター
・グループワークショップ
・発表、ディスカッション

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文・写真 野澤美希(事務局/プロジェクトアシスタント)