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投稿者: 北区チーム

8月6日のプレゼンから早2ヶ月。北チームは一度燃え尽きたのち、なんとか無事に戻ってくることができました。

先日のレポートで紹介していただいたように、私たちは「振り継ぎ」という少し複雑なメディアを考案しています。仕組みをなめらかにしていくことが後半のポイントとなっています。

9月のチームミーティングでは、メンバーそれぞれが「振り継ぎ」を通して何を大事にしていきたいかを改めて出し合い、実現に向けてどんな規模感やスケジュールで進めていくのかを話しました。

本日は少しだけ、8月6日までの奮闘ぶりをご紹介していきたいと思います。

WEB、本、デザイン、写真、映像など「ものづくり」に関わることが好きなメンバーが集まった北チーム。どちらかというと、言葉にするよりもまずは自分で考えるタイプが多いかもしれません。

初日のワークショップでは、「これまでにないローカルメディア」についてそれぞれが落とし込もうとしてしまったため、静かな時間だけが流れてしまいました。

わからないなりにもリサーチをしてみよう! と学生メンバーが研究している北山杉の産地・中川地区にフィールドワークに出かけたり、それぞれが北区在住の友人や漬物屋さん、手芸屋さんなどに話を聞いて回りました。

(北山杉の産地・中川地区にて)

なかでもご紹介したいのが、男性メンバーによる「銭湯リサーチ」。これは、銭湯の数が多い北区ならではのリサーチ方法かもしれません。

ドラマのワンシーンのように、隣に座ったおじさんに気軽に話を聞いて回れるかと思いきや……簡単なものではありませんでした。

銭湯へ通うおじさんには、それぞれに「理想の浴槽の回り方」があり、体を洗って湯船に浸かり、脱衣所へ戻るまでの一連の動きにいっさい無駄がなく、その光景はただただ美しかったそう。

ゆえに声をかける隙がなく、尾行をしながらその機会をうかがっていたみたいです。話し始めてからは “裸の付き合い”。北区の歴史や北区に対して思うことなどをあれこれ聞くことができました。

「西陣エリアは昔、織物の産業が盛んでまちに活気に溢れていた」という話をされる高齢者が多く、伝統的な京文化や産業の継承について考える銭湯リサーチとなりました。

(新大宮商店街の夏祭りの様子)

こんな風に様々なリサーチを重ねて出会えた「振り売り」というキーワード。

実際に見たことがある北区在住のメンバーもおり、さらに文献を探していくと、京都市内の振り売り農家113件のうち98件が北区であるというデータにたどり着きます。

「これでいくしかない」

と言ったのは、メンバーではなくディレクターの影山さん。

「それならこれでいこう」

と素直に受け止める北チームのメンバー(笑)

その時発表していた3つの案それぞれに良さを感じていたので、自分達だけでは決めきれなかったということもありますが、最終的にはリサーチしてきた全てのエッセンスが少しずつ入っているように感じます。

その後、急いで「振り売り」のリサーチを開始。飛び込みや知人の紹介で、ありがたいことに3軒の振り売り農家さんにヒアリングをさせていただくことができました。

(森田農園の森田さん)
(樋口農園さんで出会った振り売り用の大八車)
(玉田農園の玉田さん)

振り売りの仕組みの中で私たちが着目したのは、「コミュニティ」としての副次的な役割。単に「売り手」と「買い手」という関係に止まらず、野菜の調理法を教えあったり、情報交換をしたり、高齢者宅の見回りの機能を果たしているという点がすてきだなと思いました。

ここに、手紙というメディアがもつ「一人が一人に届ける強さ」をプラスすることで、まちに対しての「親密度」をあげることができるのではないか? という仮説を立て、ローカルメディアづくりを進めていきます。

そうして徐々に組み立てられてきた「振り継ぎ」。

次に、「思い出のあるモノ」を集められるのかどうかを試してみようと思い、メンバーの家族やラーメン屋のお母さんに協力していただきました。

(北チーム・山田さんとおじいさん)
(お話を伺ったラーメン屋・太七にて)

モノを集める難しさとモノに秘められた思い出を聞くおもしろさを感じながら、プレゼン前のリサーチはこれにて終了。あとは発表に向けてかたちにしていきます。

写真を撮ることも忘れていた発表前日は、気がつけば夜の22時までディレクター陣にアドバイスをいただきながら黙々と作業をしていました。

(プレゼン後。誰かひとりでもいなかったらこの日は成り立ちませんでした。)

プレゼンから打ち上げまでの空き時間には「いっせーのーせ」と「しりとり」をしながら時間をつぶしているような平和であたたかいチームです(笑)

これからは、実現に向けて少しずつ実践していくプロセスに入るということで、チームのみんなが自分達のプランを楽しむことを第一に、北区らしいローカルメディアに仕上げていきたいと思います!

文・並河杏奈(北文化会館〈北区〉チーム)

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北チームのプレゼン映像はこちらから
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