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レポート

私たち右京チームは、全国的にも知名度の高い「百人一首」をローカルテーマとして設定しました。

「小倉百人一首」とは、平安後期から鎌倉初期に、藤原定家が右京区の小倉山で編んだものです。
そこには、洛中で詠まれた歌が、右京区内で編纂され「百人一首」となることによって、再び洛中の文化に影響を与えてきたという歴史があります。

さらに、右京区で生まれた「百人一首」は、日本古来の「歌」というメディアであると私たちは考えました。

そして、右京の外と関わりながら育まれた歌のメディアを、「チーム右京知らズ」を自称する、外モノの私たちにしかできないメディア作りの鍵として、構想を進めていきました。

ローカルテーマを選ぶ際、ディレクターの影山さんから、「『小倉百人一首』が右京区で成立したことだけでは説得力や必然性が足りない」という指摘を受けました。

そこで、なぜ右京区で「小倉百人一首」が成立したのか、また、どういった理由と経路で全国に広まっていったのか、そして、どのように日本文化に影響を及ぼしたのか…。
「百人一首」を現代の右京区のメディアテーマとする、誰もが納得できる背景を徹底的にリサーチしました。

リサーチは、フィールドワークと資料の収集を中心に進めました。特に右京区で活動されているキーパーソンとなる方々にお話をお聞きしたり、メンバー各自が資料をもとに右京区と百人一首について調べたりしました。

そうした中で、右京には、山間部・観光地・住宅地と大きく三つ分かれており、地域が持つ課題を一つにまとめるのか難しいのではないか?という議論にもなりました。

そこで私たちは、様々な方々が各々の気持ちを載せた百人一首を詠む「短歌会」を開くことを考えました。
地元に住んでいる方の悩み、自治会の思い、観光客の気持ち、右京で働いている方たちの気持ち、消費者の気持ち、家族、恋人、友達に関すること…などなど、
一人一人の思いを共有することで、地域にある課題を見つけ、その課題を解決に繋げていくことを目指します。

これまで多くのミーティングを重ねて、メンバーがリサーチを経て各自思っていることや考えていることを共有する中で、意見が対立したり、本当にこれでいいのか不安になることも多々ありました。
ですが、チームで協力しながら各自役割を分担することで、右京区で「百人一首」をテーマとしたプロジェクトを進めていくことの必然性の追求と、構想案の詳細を詰めています。

8月6日のプレゼンテーションでは、これまでのメンバーのリサーチと議論を踏まえた構想案を、右京チームらしくプレゼンテーションできるように、チーム一丸となってギリギリまで頑張ります!
私たち右京チームの構想案にご期待ください!!

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文・伊藤真菜・福谷咲奈(グループサポーター/右京ふれあい文化会館〈右京区〉担当)

\\ 実現性と具体性 //

7/22(土)に、第3回目のワークショップを開催しました。
ワークショップの前半には、8/6の公開プレゼンテーションを想定して、全5チームが15分間の構想発表を行いました。

会議室ぎゅうぎゅう詰めで、プレゼンテーション、そしてディレクターのレクチャーを受ける1日になりました。

午後には、アートディレクター 加藤、エディター 上條から参加者に向けてレクチャーを行いました。
8/6の公開プレゼンテーション、そしてそのあとの実施に向けて、自分たちの練っている「ローカルメディア」の構想を、いかにして多く人に伝え、実現していていくかが大事なポイントになってきます。

アートディレクター 加藤は、地域アートプロジェクトや芸術祭のアートディレクション、グラフィックデザインを多く手がけています。
これまで自身が関わったプロジェクトのアートディレクションについて、ポスターや広報物などを実例に挙げながら、レクチャーが進みました。
例えば、ロゴの制作では、プロジェクトが行われる地域の山や川などの地形をモチーフにして、そのプロジェクトの性格や佇まいを形作っていくのだそう。

各チームは、これから実現に向けて6月から深めてきたリサーチやアイデアを絞り、構想案をより具体的なかたちへと詰めていきます。
チーム自らのアイデアを、多くの人に向けてアウトプットをするとき、思い描く構想案にどんな性格や佇まいを持たせ、「どのように魅せていくのか」を考えなければならないということがよくわかります。

続いて、エディター上條からは、
雑誌や書籍が、読者の手元に届くまでのプロセスを例に、「出来事の動かし方」についてレクチャーがありました。
編集者として、自らが文章を執筆する際に日々気をつけているポイントや広報のしかたなど、具体的かつ即使える内容でした。

「企画を1人で考えるところから……本を発売してPRをするところまで考えて1冊の本をつくる。それが編集者!!」

1つのテーマを突き詰めて、新しい見方や価値を提案し、1冊の本を形作っていくプロセス。
そしてそのプロセスに並走する編集者の姿。
今回のCIRCULATION KYOTOで、地域と向き合いながら、新たな「価値」を見つけて、なにか形を作ろうとしている参加者にとって、編集と編集者について具体的に知ることは、非常に刺激的だったようです。

そして、プロジェクトディレクターの影山からは、構想案の実現に向けて、より具体的な「マネタイズ」についてレクチャーがありました。
各地で展開されているローカルメディアを例に、運営資金の調達方法などが紹介されました。
より具体的な金額が提示できると、構想案の実現性、具体性、現実味がグッとあがりますね。
上の写真の様子は、伏見チームがディレクター 影山と構想案について相談をしているところ。
こうした、ディレクターとの協働によって構想案をブラッシュアップしていきます。

こちらは北チーム。
北区に古くからある「振り売り」という行商文化をローカルテーマにしています。
メンバーが思い描くよりよい地域の姿と、持っている構想案を、より具体的なものに形作っていくために話し合いを重ねています。

こちらは右京チーム。
右京区の小倉山が発祥の地とされる「小倉百人一首」をローカルテーマに設定しているようです。
では、「小倉百人一首」を基に、どんな構想案にするのか、アイデアを深めていきます。
アートディレクター 加藤は、午前中に行なった右京チームのプレゼンテーション内容を見て、「ぞくぞくした!」とコメント。
午後からのチームディスカッションでは、参加者と共に構想案のブラッシュアップ中です。

各チーム、1ヶ月間の徹底したリサーチによって、担当する地域が持つ性質を掴んできた様子。

「なぜ、自分たちはこの地域で、このメディアを作るのか。」

その必然性を、より説得力をもった形でプレゼンテーションできるよう、言葉に落とし込んでいく作業も進んでいます。
そして、この日のレクチャーとディスカッションを経て、次は、構想の具体性と実現性を高めていきます。

さて、次回は8/5(土)は、「地域の課題と魅力を可視化する企画力」と題して、ディレクターと特別講師からのレクチャーを開催します。
そしていよいよ翌日、8/6(日)に控えた公開プレゼンテーション&ディスカッションに向けて、構想案を広く一般の方々にもお伝えできるように、資料作りおよびリハーサルを行います。

8/6(日)の公開プレゼンテーション&ディスカッションは一般公開イベントです。
みなさまお誘い合わせの上、ぜひプロジェクトメンバーの構想案発表を見にきてください!!
詳細はこちらから

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ローカルメディアづくりワークショップ 3
レクチャー&ディスカッション
「地域に入り込む取材・交渉・デザイン」
会場│ロームシアター京都
日時│2017年7月22日(土)10:00~12:30/14:00~18:00
講師│影山裕樹、加藤賢策、上條桂子、榊原充大

・全5チームのプレゼン、ディレクターから講評とディスカッション
・ローカルメディアレクチャー 4|加藤賢策(アートディレクター)
・ローカルメディアレクチャー 5|上條桂子(エディター)
・グループディスカッション

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文・写真 野澤美希(事務局/プロジェクトアシスタント)

\\ 今日のテーマは「エッジ」と「フィルター」…!? //

6/25にワークショップ 番外編を行いました!
ゲストは、奈良文化財研究所 文化遺産部 景観研究室 研究員の惠谷浩子(えだにひろこ)さん。リサーチディレクターの榊原と共に、地域をリサーチする視点として、”エッジ”と”フィルター”という2つのキーワードを中心にお話いただきました。

右に座っているのが、惠谷浩子さん。リサーチディレクター 榊原との対談を交えながらレクチャーが進みました。
惠谷さんからは「1つの地域に特化することも大事だけれど、一歩引いて広い視野で見ることも大事」ということで、福岡県八女市や徳島県神山町など日本全国の地域を例に挙げながら、幅広く地域の見方をレクチャーしていただきました。
特に「暮らしのかたちは(地域間の)関わり合いから生まれる」というお話が印象的でした。例えば、祇園祭で多くの人に親しまれている「ちまき」に使われている笹は、左京区の花背で生産されているのだとか。そして、北区の深泥池近くの地域で女性たちがちまきに加工して、祇園祭が行われる洛中に運び込まれてくるのだそうです。
初回のワークショップでも登場した「エッジとフィルター」の図がこちら。今、各チームがリサーチしている地域(じかた)こそが、京都の都市部(まちかた)の営みを成り立たせるためのフィルターになっている!という考え方です。祇園祭の「ちまき」が、いくつかの地域を巡り、加工された後に洛中に入っているように、個々の地域(じかた)が京都の市街地(まちかた)に対して作用している「モノ・コト・ヒトの取捨選択」に注目する、ヒントになります。このヒントを基に、各グループが次なるリサーチに動き出しました!
レクチャー終了後は、各エリアごとに集まって早速ミーティング! そして、エリアごとに惠谷さんへ個別質問していました。
こちらはレクチャー後の西京チーム。なにやらPC画面を見ながら討論中。レクチャーの内容に触発されて、様々な角度から考察を重ねています。
プロジェクトがスタートして1週間あまり。各チーム、ひとりひとりのメンバーが、担当する地域と真剣に向き合っている姿がとても心強いです。

さて、次回は7/8(土)、ローカルメディアづくりワークショップの2回目です。
初回のワークショップに引き続き、参加者全員で、京都市右京ふれあい文化会館(右京区)、京都市西文化会館ウエスティ(西京区)を巡りながらワークショップ、ブレインストーミングを行います。
そして、各チームが、初回にディレクター陣から出されていた宿題を発表します!!
この2週間で、一体どんなリサーチをして、どんなアイデアを膨らませているのでしょうか….今から楽しみです。

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文・写真 野澤美希 (事務局/プロジェクトアシスタント)

\\ CIRCULATION KYOTO始動 //

6/17に初回のワークショップを行いました。
参加者、ディレクター、運営チーム、グループサポーター、各文化会館の副館長……。
CIRCULATION KYOTOに関わる全員が集合!!
全員で、3つの文化会館を巡りながらワークショップを進めました。

まずは、東部文化会館から活動スタート! 5つのエリアごとに集まり、参加者の自己紹介ワークショップをしました。初対面にも関わらず、早速お互いの共通点を見つけるなど、盛り上がりました〜。
続いて、東部文化会館のある山科区のキーパーソンにお話を伺いました。鏡山次郎さん(山科ふるさとの会代表)と、佐藤友一さん(京都市まちづくりアドバイザー)にお越しいただき、山科の歴史や魅力、まちづくりの実践例、そして地域の課題などお話いただきました。みんな真剣です。

午後からは、北区にある北文化文化会館に移動!

北区のキーパーソンである、古川豪さん(京都市北いきいき市民活動センター長)と、西原秀倫さん(京都市まちづくりアドバイザー)にお話を伺いました。古川さんはギター片手に熱唱!!

そして息つく暇もなく、伏見区にある呉竹文化センターへ。

呉竹文化センターでは、伏見区のキーパーソンである、若林正博さん(伏見城研究会)、北澤雅彦さん(中書島繁栄会)のお二人にお話を伺いました。その後、全体でローカルメディア構想に向けたグループワークを行いました。カードを使ってなにやらみんなで話し合っている様子......。
「ローカル」に関するキーワードと、「メディア」に関するキーワードを混ぜて、様々な組み合わせを考えていきます。幅広い世代のチームメンバーということもあり、最初は探り探りで話していたみなさん...この時間になると、お互いの緊張もかなりほぐれてきた様子で、どんどん話し合いが進んで行きます!
で、どんなカードの組み合わせが出てきたかチームごとに全員に向けて発表!! なにやら怪しげで、奇想天外な組み合わせも……!?
各チームからの発表を受けてディクレクター陣がコメント。8月の公開プレゼン、そしてメディアの具体的な実現と発足に向けて、様々な角度からコメントとアドバイスをしていました。

3箇所(!!)の文化会館を参加者全員で巡りながら、各エリアのキーパーソン6名の方にお話を伺いました!

電車での移動中やワークショップ終了後も、同じチームで集まって作戦会議を熱心にしている姿が印象的でした。早速、自主的に担当エリアのフィールドワークに出かける計画を立てたチームも!!みなさんがどんな地域の魅力を見つけてくるのか今からワクワクです。

次回は6/25(日)の「ローカルメディアワークショップ 特別編」です。
奈良文化財研究所の惠谷浩子さんをお招きして、特別レクチャーをしていただきます。楽しみです!

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ローカルメディアづくりワークショップ 1
オリエンテーション&レクチャー&インタビュー
「新たな“移動”を促すローカルメディアのかたちとは」
会場│京都市東部文化会館⇒京都市北文化会館⇒京都市呉竹文化センター
日時│2017年6月17日(土)10:00~12:30/14:00~18:00
講師│影山裕樹、上條桂子、加藤賢策、榊原充大

@東部文化会館(山科区)
・チームごとに自己紹介
・ローカルメディアレクチャー 1 影山裕樹/プロジェクトディレクター
・キーパーソンレクチャー|山科 1 鏡山次郎さん/山科ふるさとの会代表
・キーパーソンレクチャー|山科 2 佐藤友一さん/京都市まちづくりアドバイザー
@北文化会館(北区)
・キーパーソンレクチャー|北 1 古川豪さん/北いきいき市民活動センター長
・キーパーソンレクチャー|北 2 西原秀倫さん/京都市まちづくりアドバイザー
@呉竹文化センター(伏見区)
・キーパーソンレクチャー|伏見 1 若林正博さん/伏見城研究会
・キーパーソンレクチャー|伏見 2 北澤雅彦さん/中書島繁栄会
・ローカルメディアレクチャー 2
影山裕樹/プロジェクトディレクター、榊原充大/リサーチディレクター
・グループワークショップ
・発表、ディスカッション

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文・写真 野澤美希(事務局/プロジェクトアシスタント)

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