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みなさんこんにちは!山科区チームです。
今回は、8月6日のプレゼンテーションまでの山科チームの歩みを振り返り、今後について
も少し触れたいと思います。

山科は「通過」の街?
山科にはJR、京阪、地下鉄の3路線が通り、毎日多くの人が行き交っているものの、目的地になりづらい地域である。そんな印象はかなり初期から見えてきていたように思います。
「通勤通学」や「渋滞」、京都中心部の碁盤の目とは異なる「くねくね道」など移動に関するキーワードが上がっていました。
私たちのチームには滋賀出身、在住の方がおり、滋賀から見た京都のという視点があったことも大きく影響していると思います。

「車石」に光を当てる
私たちが最初に「これを推していこう」と思ったのは「車石(くるまいし)」。
車石とは大津から京都の街を結んでいた道に敷かれた石です。重い米俵を積んだ牛車が通るため、石には自然と溝ができています。
車石を取り上げることで、鉄道が開通する前も山科は多くの人が行き交う場所であったという歴史とのつながりが見えてきたように思います。

山科問題にぶち当たる
6/25に奈良文化財研究所から惠谷浩子さんにお越しいただき、レクチャーを受けました。そこでぶち当たったのが「山科問題」。山科問題とは、今回のワークショップのテーマである「フィルター」に当たるものが山科にはないのではないか、ということ。
「フィルター」とは例えば、鞍馬の山で採れたものを北区で加工して洛中に届ける、というような流れのこと。
砥の粉(山科で採掘・生産されている粉で伝統工芸に欠かせないもの)なども存在しているのですが、確かにCIRCULATION KYOTOのテーマに一致させるためには工夫が必要なようです。

そして迎えたプレゼンの日
いろいろと悩みながらも、「山科通勤通学家族」というひとつのメディアに行きつき、発表の日を迎えました。

山科には自主独立の精神が根づき、地元コミュニティの活動は非常に活発です。
ですが、外と内の交流は少なめのよう。外の人が山科で降りるような何かがあれば、流れが変わるのでは?外の人と言っても、縁もゆかりもない人を引き寄せるのは難しいかも。でも、山科には毎日通っている人がたくさんいるじゃないか?というところから発想が広がっていったように思います。

デザイナーが多い山科チームはアートワークにもこだわり、実際に手で触れられるものまで落とし込むことができました。

プレゼンの評価では、やはり山科の内の人と外の人の意見や意識の違いを感じ取る部分もあり、これから作っていくメディアの存在意義を感じました。
「降りる」だけでなく、「通過している最中にヒットする」メディアもありかも、など新しい視点を得ることもできました。

山科チームのこれから
プレゼンまでは、仕事や学業が忙しいメンバーも多く、現地に行く機会が他のチームより少なかったかもしれません。ということで、今は山科のキーパーソンと会う機会をセッティングし、つながりを深めています。
9月下旬には山科のボランティア団体「ふるさとの会」(注1)事務局長である鏡山次郎さん、10月上旬には山科との地域連携を活発に行っている橘大学の小辻先生へのヒアリングを実施。また、10月に山科で開催された「やましな駅前陶灯路」や「山科バルフェスタ」、「清水焼の郷まつり」に参加し、メディア作成の情報収集を行いました。

「通過」を取り上げるというコアは残しつつも、「山科の人が通過する人に送っていたメッセージ」に焦点を当てて、メディア案を構想中です。今後の進展をお楽しみに!

注1「ふるさとの会」
正式名称「ふるさとの良さを活かしたまちづくりを進める会」。
京都市山科区の自然・歴史・伝統・文化をより深く知る中から、地域への愛着をはぐくみ、まちづくりに活かそうとしている区民の自主的なボランティア団体です。
参考:「ふるさとの会ホームページ」はこちら

文・久保田真也、藤澤理恵 (東部文化会館〈山科〉チームメンバー)

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山科チームのプレゼン映像はこちらから
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2017年6月にスタートした「まちの見方を180度変える ローカルメディアづくり~CIRCULATION KYOTO(サーキュレーション キョウト)~」。伏見チームは、総勢11人のメンバーでスタートしました。

このプロジェクトは、紙やウェブにとらわれない、いままでにない新たなローカルメディアを作っていくことを目指します。
ディレクターの影山さんは、ワークショップの中で、ローカルメディアを「異なるコミュニティをつなげるための手段」だとお話しされていました。

「最終的に自分たちの作った構想案を200名以上入る会場で発表する」
スタートしたとき、多くのひとに向けて発表することを想像すると少し恐ろしかったです。
と言いつつも、このチームで、今まちにあるものを新たな視点から見て、まちの魅力を掘り起こすことでローカルメディアを作りあげていこう!という想いで活動しました。
8月の公開プレゼンに向けて、まちあるきや聞き取り、リサーチを繰り返し、ちょっと斜めな視点からまちを見直すことを意識しました。

毎回、ワークショップの中で各チームの発表を聞くことで、考えを深める機会が多くありました。

では、プロジェクト前半の感想やエピソード、またプレゼンを終えた後に取り組んでいること、今後への意気込みを書いていこうと思います。

ワークショップの中でディレクター陣からは、
「フィルターとしてのエッジの象徴となるものを見つける」
という宿題が提示されました。

フィルター?エッジ?
伏見チームは、まちあるきをしながら地域特有のキーワードを見つけるため、チームメンバーで伏見でフィールドワークを繰り返しました。
そして私たちは、「川」がフィルターとなり、「舟」がメディアとなり伏見という場所を成り立たせていると考えました。
伏見を象徴するとも言える十石舟を用いて、船上マルシェを開くなどして、昔の伏見や大阪・伏見間の物流がよみがえるようなものにならないかなあなど、メンバーと共に伏見を歩きながら考えました。

メンバーが集まって伏見を歩きました。

別の日には、伏見のまちづくり団体「ぴあぴあコミュニティサポート合同会社」の藤崎さんにインタビューを行いました。
伏見桃山界隈のまちの雰囲気、地域活動をしている他の団体の情報、伏見の歴史的背景、巨椋池の話、川魚文化、桃、商店街、遊郭、川、舟、伏見の野菜、日本酒などなど話題は尽きず……。
3時間近くヒアリングにご協力いただきました。

ヒアリングに行くまで、チーム内で地域の必然性に関する裏づけや「伏見ならではの何か」をなかなか見つけられず、もやもやしていました。
ですが、藤崎さんのお話を聞くことで伏見に関する知識がより深まり、メンバーそれぞれの「伏見愛」も見えてきました。

プロジェクト第3回目のワークショップでは、各チームがプロジェクトに参加しているメンバー全員に向けてプレゼンを行う時間がありました。そこでは、取材に行ったメンバーが、伏見地域で活動していらっしゃる食育キッチンの石黒さん、月見館の南さん、山本本家の山本さん、東部農業振興センターの石田さんにインタビューしたときの様子を報告したり、まちあるきをしたときの写真など用いてチームの活動報告を行いました。

この日は、ディレクターの影山さんから、メンバーの特性を活かしつつ、チーム内の役割分担決めを段取りよくしてくださったので、各々の動きが明確になり良かったです。

レクチャーでもお話いただいた中書島繁栄会の北澤雅彦さんにもお会いしてきました。

発表にむけて構想案の内容が明確になりつつあるなか、ディレクター陣からのアドバイスもあり、私たちの構想案の象徴とも言える「舟」を段ボールで制作することにしました。

1m×1mの段ボール紙から型をとってカッターで切り出し、成型していくことで、立体的な「舟」のかたちになっていく過程は、やっていてとても達成感がありました。 なんとか、かたちにすることができて、本当に良かったです。

ついに迎えた、公開プレゼン前の最後のワークショップ。
午前中は、ディレクターの方々を前にプレゼンの練習をしてフィードバックをいただきました。

また、午後からは月に一度だけ開くフリーペーパーのお店「只本屋」の運営をされている山田さん、「京都移住計画」の活動をされている不動産プランナーの岸本さんをゲスト講師にお迎えして、午前中にいただいたフィードバックで練り直したプレゼン案を見ていただき、アドバイスをいただきました。

午前中にご指摘いただいた点を改善するつもりで削った部分が、逆に少し流れや内容を見えにくくしたりする結果になり、午後のプレゼン後に、再びチームで話し合ってスライドの順番を入れ替えたり、スライドを増やしたり減らしたりする作業を繰り返しながら、内容をブラッシュアップしていきました。

途中、ディレクターの1人である編集者の上條さんから、かなりの神がかったアドバイスが降りてきて、なんだかつっかえていたものが、スッキリと水で流されたようにきれいに整理整頓されて、外はもう真っ暗な時間帯、プレゼン案がほぼまとまったのでした。

公開プレゼンの8月6日(日)。
ウィングス京都で13時よりスタートするプレゼンで、伏見チームは14時から、2番目の発表。

今回のプロジェクトでチームが考えたローカルメディアは、
伏見の三十石舟をモデルにしたカーゴバイク、名づけて「伏見m.a.a.r.(ふしみまーる)」。

伏見のまちを、伏見m.a.a.r.が回遊することで、まちのなかに新しいコミュニティが生まれるきっかけになったり、伏見のなかとそとのひとが出会う場をつくりだします。
また、点と点で活動する伏見の個人、団体の方を面でつなぎながら、伏見「らしさ」を発信したりする、そんなローカルメディアです。

公開プレゼン後は、メンバーそれぞれが持つ個人的なつながりによって、類似した先行事例を展開されている団体や個人にお話をお伺いしに行ったり、公開プレゼンの動画をご覧いただきフィードバックをいただいたりしました。
また、地域で活動されている団体のお集まりに参加したり、公開プレゼン後にも活発に活動しています。

現在3人がコアメンバーとなって活動をしています。
後半のメディアづくりは前半と違って、チームのテーマに沿った個人個人の動きが、より必要になってくるかと思います。
伏見地域の課題と自分の関心ごとをどんな風に重ねて、動いていけるのか。
じっくり考えつつ、これからも進んでいきたいと思っています。

文・堀家沙里 (伏見〈呉竹文化センター〉チームメンバー)

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伏見チームのプレゼン映像はこちらから
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8月6日のプレゼンから早2ヶ月。北チームは一度燃え尽きたのち、なんとか無事に戻ってくることができました。

先日のレポートで紹介していただいたように、私たちは「振り継ぎ」という少し複雑なメディアを考案しています。仕組みをなめらかにしていくことが後半のポイントとなっています。

9月のチームミーティングでは、メンバーそれぞれが「振り継ぎ」を通して何を大事にしていきたいかを改めて出し合い、実現に向けてどんな規模感やスケジュールで進めていくのかを話しました。

本日は少しだけ、8月6日までの奮闘ぶりをご紹介していきたいと思います。

WEB、本、デザイン、写真、映像など「ものづくり」に関わることが好きなメンバーが集まった北チーム。どちらかというと、言葉にするよりもまずは自分で考えるタイプが多いかもしれません。

初日のワークショップでは、「これまでにないローカルメディア」についてそれぞれが落とし込もうとしてしまったため、静かな時間だけが流れてしまいました。

わからないなりにもリサーチをしてみよう! と学生メンバーが研究している北山杉の産地・中川地区にフィールドワークに出かけたり、それぞれが北区在住の友人や漬物屋さん、手芸屋さんなどに話を聞いて回りました。

(北山杉の産地・中川地区にて)

なかでもご紹介したいのが、男性メンバーによる「銭湯リサーチ」。これは、銭湯の数が多い北区ならではのリサーチ方法かもしれません。

ドラマのワンシーンのように、隣に座ったおじさんに気軽に話を聞いて回れるかと思いきや……簡単なものではありませんでした。

銭湯へ通うおじさんには、それぞれに「理想の浴槽の回り方」があり、体を洗って湯船に浸かり、脱衣所へ戻るまでの一連の動きにいっさい無駄がなく、その光景はただただ美しかったそう。

ゆえに声をかける隙がなく、尾行をしながらその機会をうかがっていたみたいです。話し始めてからは “裸の付き合い”。北区の歴史や北区に対して思うことなどをあれこれ聞くことができました。

「西陣エリアは昔、織物の産業が盛んでまちに活気に溢れていた」という話をされる高齢者が多く、伝統的な京文化や産業の継承について考える銭湯リサーチとなりました。

(新大宮商店街の夏祭りの様子)

こんな風に様々なリサーチを重ねて出会えた「振り売り」というキーワード。

実際に見たことがある北区在住のメンバーもおり、さらに文献を探していくと、京都市内の振り売り農家113件のうち98件が北区であるというデータにたどり着きます。

「これでいくしかない」

と言ったのは、メンバーではなくディレクターの影山さん。

「それならこれでいこう」

と素直に受け止める北チームのメンバー(笑)

その時発表していた3つの案それぞれに良さを感じていたので、自分達だけでは決めきれなかったということもありますが、最終的にはリサーチしてきた全てのエッセンスが少しずつ入っているように感じます。

その後、急いで「振り売り」のリサーチを開始。飛び込みや知人の紹介で、ありがたいことに3軒の振り売り農家さんにヒアリングをさせていただくことができました。

(森田農園の森田さん)
(樋口農園さんで出会った振り売り用の大八車)
(玉田農園の玉田さん)

振り売りの仕組みの中で私たちが着目したのは、「コミュニティ」としての副次的な役割。単に「売り手」と「買い手」という関係に止まらず、野菜の調理法を教えあったり、情報交換をしたり、高齢者宅の見回りの機能を果たしているという点がすてきだなと思いました。

ここに、手紙というメディアがもつ「一人が一人に届ける強さ」をプラスすることで、まちに対しての「親密度」をあげることができるのではないか? という仮説を立て、ローカルメディアづくりを進めていきます。

そうして徐々に組み立てられてきた「振り継ぎ」。

次に、「思い出のあるモノ」を集められるのかどうかを試してみようと思い、メンバーの家族やラーメン屋のお母さんに協力していただきました。

(北チーム・山田さんとおじいさん)
(お話を伺ったラーメン屋・太七にて)

モノを集める難しさとモノに秘められた思い出を聞くおもしろさを感じながら、プレゼン前のリサーチはこれにて終了。あとは発表に向けてかたちにしていきます。

写真を撮ることも忘れていた発表前日は、気がつけば夜の22時までディレクター陣にアドバイスをいただきながら黙々と作業をしていました。

(プレゼン後。誰かひとりでもいなかったらこの日は成り立ちませんでした。)

プレゼンから打ち上げまでの空き時間には「いっせーのーせ」と「しりとり」をしながら時間をつぶしているような平和であたたかいチームです(笑)

これからは、実現に向けて少しずつ実践していくプロセスに入るということで、チームのみんなが自分達のプランを楽しむことを第一に、北区らしいローカルメディアに仕上げていきたいと思います!

文・並河杏奈(北文化会館〈北区〉チーム)

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北チームのプレゼン映像はこちらから
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8/6(日)に公開プレゼンテーション・ディスカッションを行いました。
6月からの1ヵ月半の間に全5回のワークショップ、レクチャーと連日の自主活動を経て、各チームが生み出した構想案をいよいよ発表です!

前日(8/5)は、不動産プランナーの岸本千佳さん、「只本屋」代表の山田毅さんのふたりをゲストにお迎えし、プレゼンリハーサルに対するフィードバックをしてもらい、最後の追い込みをかけました。そしてプレゼン当日。各チームの発表に先駆けて、プロジェクト・ディレクターの影山がこれまでのワークショップの振り返りと、プロジェクトのコンセプト(詳しくはこちら)について説明しました。

人と人をつなぐローカルメディアとは

京都市内の5つの区ごとに5つのチームに分かれ、それぞれの地域で最適なメディアを構想するサーキュレーションキョウト。本プロジェクトの特徴は、いわゆる紙やウェブといった一般的にイメージされる「メディア」ではなく、人と人をつなげ、相互に交流する「媒体」としてのメディアを制作するところにあります。

さらに、発行して終わりではなく、今後も地域に残っていくメディアを目指して、「発想の斬新性」「地域における必然性」「運営の継続性」「資金の調達方法」という4つのポイントを重視しプランをブラッシュアップしてきました。今後は、この日に発表されたプランを元に、2018年3月に向けて実際に制作をスタートします。

こちらのレポートにある通り、本プロジェクトの対象エリアはまさに都市のエッジにあり、洛中と洛外を結ぶ歴史的にも重要な役割を担ってきました。各チームはこうした地域の歴史性を掘り下げ、キーパーソンへのヒアリングを元に「ローカル」の種を見つけ、その地域ならではのユニークな「メディア」を考えてきました。

右京チーム:post百人一首

トップバッターの右京チームは、小倉山で生まれた「小倉百人一首」を古来から右京エリアに存在する「メディア」と捉え、地域に潜在している課題を表面化させるような仕組みを構想。電話を使った投稿例、短歌会のデモンストレーションなど凝った演出でお客さんを沸かせました。

右京エリアは、かつての平安京の左端にかかっており、貴族が避暑などでよく訪れていたそうです。都の喧騒から離れて、歌を詠むという文化がこの地域から生まれたのは必然だったかもしれません。実際、まちなかやお寺には歌碑がたくさん建てられています。歌碑は、貴族たちが残したものではなく、小倉百人一首を愛する人々によって後年建てられたもの。まちあるきをした右京チームは、この親しみやすく、伝播力のある「短歌」に着目します。

また、百人一首を取り上げた理由は、単にそれが右京エリア発祥だからというだけではなく、江戸時代に入り木版印刷が発達すると、かるたなどの遊戯を生み出し、また和菓子にも影響を与えるなど、様々な文化のアイデアソースになっているからでした。

一方、現代はインターネットなどテクノロジーが発展した時代です。この時代にふさわしい短歌の投稿の仕組みを考えられないか。そこで彼らは、若い世代向けにはツイッターを使って、年配の方には既存の紙メディアを通して、こっそりと投稿したい人に向けては留守番電話というツールを使って、様々な世代の方が短歌を投稿できる仕組みを提案しました。

今後は、既存のローカルメディア(右京じかんなど)やショートツアー(まいまい京都)などのサービスと連携し、地元の企業の協賛を募って定期的に短歌会を開催し、「うたのまちうきょう」というアイデンティティをこの地域に定着させたいと意気込みます。

伏見チーム:伏見m.a.a.r(マール)

大阪と京都をつなぐ日本最大の河川港湾として栄えた伏見は、三十石舟という船が淀川の水運を利用し大阪ー伏見間を活発に往来していました。大阪から人、海産物、年貢等の物資が京都に運ばれ、一方、伏見からはお酒や伏見人形などの名産品(文化)等が大阪を経由して全国に運ばれました。この地域もまさに、文化とモノの経由地だったのです。

しかし、時代とともに鉄道など陸用交通機関にとって代わられ、運河の機能は衰退していきました。そこで、人や文化、モノが往来する「港」を現代に蘇らせることはできないか、と考えて生まれたのが「カーゴバイク」というメディアでした。

このプランがユニークなのは、船に見立てたバイクの前面が開閉式になっているところです。蓋を閉めればテーブルになり、料理やお酒を楽しんだり、名産品を売ることができます。蓋を開ければ、それらの商品をしまって別の場所に移動できる。まちかどのあちこちに停泊した「伏見m.a.a.r」の周りには、世代も出自も様々な人々が集まってくることでしょう。

さらにこのチームは、現代版三十石船として、かつての運河沿いにレールが敷かれた京阪電鉄に注目します。しかし、大阪と京都を結ぶ京阪電車の利用者は、伏見を通過していってしまいます。そこで彼らは、数多くのスナックが集積する呑み屋街・中書島の駅にある、普段、早朝と深夜しか使われてないホームに着目しました。

ここに「伏見m.a.a.r」を設置して、中書島のスナックのママに、「昼のママ」になってもらったらどうだろうか。まかない料理やつまみと伏見のお酒を提供し、それを目当てにした酒好きが、通過せず伏見に降りるようになったら……そんな夢のあるプランを発表してくれました。

北チーム:振り継ぎ

京都市の北に位置する北区は、金閣寺や上賀茂神社などの観光資源があり、市街地にはバスターミナルがあるなど、比較的中心部からもアクセスしやすい街です。しかしちょっと北に上がれば山があり、北山杉などの名産品もあります。

このチームがローカルテーマとして注目したのは、「振り売り」という野菜の移動販売の仕組み。なんと、京都市内の全113件の振り売り農家さんのうち、98件が北区なのだそうです(チームメンバーが書いたこちらの記事も参照のこと)。

振り売りは、単に商品の売り買いをするだけではなく、地域のお年寄りの安否確認などの情報交換をする機能も持っていました。そこで北区チームは、こうした人と人、情報が活発に交換される「振り売り」というローカルテーマから、まったく新しい「振り継ぎ」というメディアを考えました。

振り継ぎの仕組みはちょっと複雑です。まず、地域のお年寄りから、二十歳の頃の自分に贈りたい「モノ」と伝えたい「メッセージ」を振り継ぎチームが預かり、現在の二十歳の若者に届けます。そして、自分が欲しいと思っていたモノを受け取った若者は、未来の自分から受け取ったと仮定して、感謝の気持ちを手紙に仕立てます。

重要なポイントは、お年寄りと若者がモノとメッセージを直接やりとりするわけではなく、「振り継ぎチーム」が仲介に入るということです。また、区内の飲食店や空き店舗に「振り継ぎステーション」を設置し委託したり、特設ウェブサイトにインタビュー記事をアップするなどして、プロジェクト自体に親しんでもらうための工夫も考えました。

山科チーム:やましな通勤通学家族

4番手に登壇したのは、京都の東側、山に囲まれた山科区のチームです。滋賀と京都の間にあり、伏見と同じく独自の文化圏にある山科にふさわしいメディアとはいったい、どんなものが考えられるでしょうか。

山科チームは琵琶湖疏水という水のインフラ、そして牛車の往来がしやすいようにと車石が敷かれた街道のインフラに着目しました。そこに、近代以降に敷設された鉄道網というインフラを重ね合わせてみます。すると、JR・京阪・地下鉄が乗り合わせているにも関わらず、どれも始発駅ではない、つまり現代においても「通過される」まちという宿命を背負っている山科の特殊性が見えてきました。

そこでこのチームが提案するのは、山科を通過する通勤者、通学者に向けたメディアです。キャッチコピーは、「通過される町からツーカーの仲になる」。通勤、通学で利用する人に、1、2時間降りて山科を歩いてもらうにはどうすればいいか? というプランです。

具体的には現代もまちなかに残る「車石」を探すツアーだったり、国内で100パーセントの生産を誇る「砥の粉」という、金継ぎに利用される材を利用し、まちなかに点在する「飛び出しぼうや」を磨くワークショップなどを開催します。

さらに、これらワークショップを体験する会員向けの「鍵」サンプルをつくったり、鉄道広告やDMなどのツールを実際に印刷して配布するなど、本格的なプレゼンでゲスト講評者を驚かせました。

西京チーム:たけにょんwifi

最後に登場したのは、京都の西側に位置する西京区を対象にしたチームです。西京区は、ディレクターチームがワークショップ開始前よりリサーチを行い、注目していた洛西ニュータウンのある地域です。

全国の他の地域のニュータウンもそうですが、この洛西ニュータウンは、いわば「昭和のエース」でした。いまでは珍しくありませんがバリアフリー化されており、整備された緑道が団地の隙間に点在しています。しかし今は、少子化、空き家の問題を抱えています。これは全国どこでも一緒です。しかもここではwimaxがつながらない。これは辛い。そこで彼らが提案したのは……。

なんと彼らは、西京区がここ数年推している、公式ゆるキャラの「たけにょん」を連れてきました。竹林が広がる西京区ならではの鉄板のキャラクターです。これには観客も騒然。区内だけではなく中心部にも足繁く通い、京都の人にも馴染み深い(?)このたけにょんに、西京チームは何をさせたいのでしょうか。

突然、舞台が暗転し、たけにょんの頭上が光りはじめました。たけにょんの頭上には、wifiを受信するアンテナが設置されています。そう、彼らは、区内を周回するたけにょんに、wifiの機能を持たせようと考えたのです。

もちろん、wifi電波を発信するたけにょんを一人寂しく歩かせるだけではありません。たけにょんの側には、「たけにょんポーター」というスタッフが取り巻き、wifiを求めてやってくる区内の住民にスマホやタブレットの使い方を教えます。また、運良く、普通のたけにょんじゃなくwifi付きのたけにょんに出会った人には、回覧板型スマホケースという、アナログとデジタル、オールドメディアと最先端メディアを融合させたツールを配るのだそうです。

3月に向けてどのようにプランを修正していくか

これら5つのプランに対して、伊豆田千加さん、井口夏実さん、兼松佳宏さん、竹田正俊さん、幅允孝さん、吉岡洋さんの6名のゲストが手厳しくも暖かいコメントをそれぞれしてくださいました。

まずは、プレゼンの完成度の高さ、そして小芝居の面白さに対して感心してくださいました。でも、これは中間発表であって、実際に出来上がった時に、本当にそれでいいのかはまた別の問題です。

実際、地域のどんなプレイヤーと組んでいくのか。本当に、発表者自身が継続的に関わりたいプランなのかどうか。事業を立ち上げるのは簡単だが、潰した時に責任を取れるのか……参加者が考えてもいなかった鋭い指摘が飛び交いました。こうした講評を受けて各チームプランを修正し、3月のメディアの実装を目指して突き進んでいきます。

各回のワークショップにレクチャー協力をしてくださったキーパーソンの方々、そして、今回の発表までにインタビューやヒアリングなどでご協力いただきました地域の方々に、心よりお礼申し上げます。

このプレゼンテーションの様子は、近日特設ウェブサイト上で公開します。各チームの発表をご覧いただき、今後の実現へのご支援を賜れましたら幸いです。ひきつづき、サーキュレーションキョウトにご注目くださいませ。

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ローカルメディアづくりワークショップ 4
ディスカッション&公開講座
「地域の課題と魅力を可視化する企画力」

会場|ロームシアター京都
日時|8月5日(土)10:00〜12:00/13:30〜17:00
講師|影山裕樹、加藤賢策、上條桂子、榊原充大
ゲスト講師|岸本千佳(不動産プランナー)、山田毅(只本屋 代表)

10:00〜12:00
・全5チームの全体へのプレゼンテーション

13:30〜17:00
・ゲスト講師及びディレクターからの個別レクチャー
・チームごとのディスカッション

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プレゼンテーション&ディスカッション
「新たな“移動”を促すローカルメディアのかたちとは」

日時|2017年8月6日(日)13:00~17:00
会場|京都市男女共同参画センター ウィングス京都 イベントホール
ゲスト|
伊豆田千加(NPO法人子育ては親育て・みのりのもり劇場理事長)
井口夏実(学芸出版社編集室長)
兼松佳宏(勉強家、京都精華大学特任講師、元「greenz.jp」編集長)
竹田正俊(株式会社クロスエフェクト代表取締役)
幅允孝(ブックディレクター)
吉岡洋(京都大学こころの未来研究センター特定教授)
主催|
公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団(ロームシアター京都、京都市東部文化会館、京都市呉竹文化センター、京都市西文化会館ウエスティ、京都市北文化会館、京都市右京ふれあい文化会館)、京都市

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写真 前谷開

「伏見」と聞くと、伏見稲荷や酒蔵のある町並み、日本酒の名産地、あの坂本龍馬が泊まっていた寺田屋のある場所、というイメージが浮かんできませんか?
私も、CIRCULATION KYOTOに参加して、6月に伏見のリサーチをスタートさせるまでは、そうでした。

ワークショップの中で地域のキーパーソンから伏見に関する歴史的なレクチャーを受けたり、資料を集めて読んだり、フィールドワークしたりして、伏見についてのリサーチを深めました。
特に、「京都の中で」伏見はどんな存在であるのか、に着目しました。

伏見は、日本最大級のの河川港湾で、伏見から京都市内へと続く高瀬川という川があることが分かりました。
様々な人やモノが往来する土地だということが分かりました。
また、その高瀬川が運河となり、様々な物資を京都の中心部へ伏見から舟で運び込むという、いわば「物流の要」という地域性を持っていたのです。

このことをキーパーソンの若林さんは「伏見は京都の腎臓である」と言っておられたことに私たちは印象を持ちました。

私たちはこうした伏見の地域性を象徴する「舟」と、伏見に根付いている、水、酒、野菜なを含む食文化と、その食文化に関わる人たちを掛け合わせて、構想案を練っています。

特に印象的だったのは、6/25に開催された奈良文化財研究所の惠谷浩子さんからの特別レクチャーを受けたことでした。
そこで伏見チームのリサーチはより一層深まったと思います。

特別レクチャーでは、今CIRCULATION KYOTOでテーマにしている地域こそが、京都の都市部の営みを成り立たせるためのフィルターになっている、という考え方を教えていただきました。
そこで、伏見のみに焦点を当てて考えるのではなく、「京都の中で伏見はどんな役割を持っているのだろう?」という問いが生まれ、そこから京都全体と伏見の関わりを意識しながらリサーチを進めることができたと思います。

また、ディレクターチームとやりとりの中で、伏見が持つ地域性の象徴として「舟」を考え、その必然性をリサーチを基にして考えることができました。
現在は、8/6に向けて、実際のビジュアルイメージなどのデザイン面についてもディレクターと共にブラッシュアップを重ねています。

(ディレクターの影山さんとまち歩き)

6月から今まで、メンバーは、幾度となく伏見に出かけて、伏見に住む様々な人にインタビューをしてきました。

すでに、伏見のキーパーソンである方々とは、顔見知りにもなれていると思います!

(左端に座っているのは、第1回ワークショップでもレクチャーをしてくださった中書島繁栄会の北澤さん。)

こうした、地域の人たちに入り込んで行くフットワークの軽さが伏見チームの良さだと私は思っています。

8/6のプレゼンテーションでは、構想案を見た人が思わず私たちのアイディアに関わりたくなるような気持ちになってもらえたらいいなと思っています!!

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文・下寺孝典 (グループサポーター/呉竹文化センター〈伏見区〉チーム担当)

大津市と京都市の中間に位置する山科区。
JR・地下鉄・京阪が通り、交通の便が良く、多くの通勤通学利用者が山科駅を利用しています。
しかし、通勤通学者のほとんどは乗り換えのために山科駅を利用し、目的地の駅へ出発していきます。
山科駅を利用するけど、山科には長く滞在しない……つまり、山科の魅力を「通過」しているのです。

山科について詳しくリサーチをしていくと、私たちが生まれるずっと前から、山科を「いかに効率よく”通過”するか」と人々は考え、知恵を働かせていたことも分かりました。

そこで山科チームは、「今も昔も山科は通過される場所である」という点に注目しました。
現在は、山科を通過する存在である通勤・通学者が、山科の魅力を探すメディアを作ることを目指しています。

(リサーチディレクターの榊原さんとメンバーで山科のまちあるきをしました。写真に写っているのは産直野菜の自販機!)

ディレクターの方々とは、ワークショップの中で、
・「通過」=山科になる必然性について
・山科を通過する通勤・通学者に、山科に降りてもらって魅力を発見してもらうにはどうしたらいいか
の2点を詳しく話し合いました。

特に、
・必然性を見出す手法や視点について。
・自分達なら、どういったメディアがあると山科に降りたくなるか?
というアドバイスと問いかけを頂きました。
「誰かのためのメディア」ではなく、「自分たちが一番利用したいメディア」を考えることでより良いものができるのだと感じました。

私たち東部チームは、メンバー同士の協調性があり、ミーティングはいつも和やかです。
特に、様々な職種の方がメンバーとして参加していることは私たちチームの強みかもしれません。
それぞれ違った立場から意見を出し合い、出てきたアイデアをより良いものへとブラッシュアップするように取り組んでいます。

6月にプロジェクトがスタートしてから現在まで、多くのミーティングをして、アイデアを出し合ってきました。
その中でも、特に力を入れたのはフィールドワークを中心としたリサーチです。
自分たちの考えるアイデアを山科区で展開する必然性について考えるため、山科区のキーパーソンとしてワークショップでもお話を伺った、山科ふるさとの会代表の鏡山次郎さんから、山科の地域性についてより詳しいお話を伺いに行ってきました!

(写真左端が鏡山さん。)

鏡山さんからのお話で印象的だったのは
「山科は京都の首である」
「ローカルメディアはただご飯を食べれるとかでなく、文化に触れられるようなものが良い」
という2つの言葉です。

こうした鏡山さんからのお話を参考にし、8月6日の公開プレゼンテーションに向けて構想案のブラッシュアップをしています。

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文・梅垣心太郎 (グループサポーター/東部文化会館〈山科区〉担当)

「人口減少」「少子化」「高齢化」「空き家の増加」……。
今の日本でよく耳にする問題が、西京区、特に洛西ニュータウンでは顕著に表れています。
こうしたマイナスな問題をプラスに変え、洛西ニュータウンを「帰りたくなる街」にしたい!!!という思いを強く抱くメンバーが集まっているのが西京チームです。

そこで、西京チームが考えたのは、ニュータウン内の公園などに不定期に場所を変えて現れる移動式のWi-Fiスポットです。洛西ニュータウンを「帰りたくなる街」にする取り組みの第一歩として仕掛けていきたいと考えています!

Wi-Fiスポットには一緒に「サポーター」として複数の人間が一緒に移動します。そのWi-Fiスポットは、西京区内にある公園に随時移動していきます。そして、公園内限定で子どもにスマホを貸し出します。そこで、サポーターは、子どもに対して、公園でのあそびと、スマホを連携させた新しい遊びの形を提案してくれます。それだけではなく、サポーターは集まってきたお年寄りの方たちに、スマホの使い方を伝授します。
このように、Wi-Fiスポットを「メディア」として、サポーターがWi-Fiスポットと移動を共にすることによって、子どもたちやお年寄りの方が集まるのではないかと考えています。
子ども同士の交流、お年寄り同士の交流、そして、子どもとお年寄りの交流など世代を超えた交流を、Wi-Fiを通じて生む、ということです。

こうしたWi-Fiを軸とした案に対して、ディレクター陣から3つのアドバイスをもらいました。

その1:
子どもとお年寄りが集まる必然性は作れそうだが、スマホを使いこなしている世代が集まる必然性を作れないか。
その2:
Wi-Fiと一緒に回るサポーターの仕事・役割をイメージしやすくするために図や画像にしてみる。
その3:
「洛西ニュータウンを変える!!」という何十年後までも見据えた取り組みの全貌を誰にでも分かりやすくプレゼンできるように工夫してみる。

チーム内で様々な案が出るのはとてもいいことだと思います。
ですが、出た案を客観的に見直すことや、リサーチを深めて、その案を西京区でやる必然性や実現性を高めるための議論や根回しも大事なことなのだなと、チーム内、そしてプロジェクト内でのディスカッションを見ていて感じました。

プロジェクトが始まった6月から現在まで、チームでのミーティングはメンバーの仕事終わりに行ってきました。
夜遅い時間からスタートすることが多いため、喫茶店など集まって話ができるようなお店が閉まってしまうことも。

チームの中には、実際に洛西ニュータウンに住んでいるメンバーがいます。そしてそのメンバーの一人は、ニュータウンや西京をよくしようと活動をする傍ら、嵐山にあるカフェのマスターだったりもします。
そこで、その嵐山のカフェで連日ミーティングを行っています。
そこが西京チームのミーティング場所であり活動拠点です!

ちなみに、そこのマスターの作る料理は格別なんです。中でも私のお勧めはグリーンカレーヌードル!日替わりメニューなので絶対食べたい人は予約してくださいね。
そして料理だけでなく内外装もオシャレなのでデートにもおすすめ!ぜひ訪れてみてください!
UN-O京都嵐山 京都市西京区嵐山中尾下町32−3 http://un-o.net/

ということで、8月6日のプレゼンテーションにむけて、今日も鋭意ミーティング中です。

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文・松原湧佑(グループサポーター/西文化会館ウエスティ〈西京区〉担当)

私たち北区チームは、北区で古くから行われている「振り売り」に注目して構想案を作っています。

振り売りとは、野菜など食品を中心とした物資をリアカーなどで運び、街中を練り歩きながら売る、というものです。現在は、軽トラックで振り売りをしている場面がよく見かけられます。

2012年のあるデータからは、京都市内の振り売り数は全体で113件であり、その中の98件が北区で行われていることが分かりました。約90%の振り売りが北区の中で行われているということです。(註1)

振り売りは、今も昔も農家の女性の仕事として受け継がれてきました。男性が農作業をしている間に、女性がまちのなかへ販売に歩くという伝統があるのです。

振り売りは、振り売りをする農家の人と、買う人の信頼関係から成り立っている、とも言えるそうです。
そのため、規格外の野菜を販売することができたり、振り売りの地域の人にとって振り売りは一つの情報交換の場になっています。北チームでは、こうした振り売りの文化から、北区特有のヒトの移動とモノやカネ、そして情報交換を行う、文化的土壌があると考えました。

(註1:三俣延子、産業観光局農林振興室農業振興整備課(2012)「京野菜(地場農産物)でつながる洛中洛外ネットワーク~地産地消の過去・現在・未来~」公益財団法人 大学コンソーシアム京都 シンクタンク事業 より引用。)

(チームのミーティングでは、みんなでホワイトボードを囲んで議論を整理しています。)

振り売り」をローカルテーマに据えながら、ディレクターの影山さんや上條さんと話している中で「一人が一人に届ける強さ」「親密度」というキーワードが出てきました。
この「親密度」を具現化するには、地域の人々のリアルな表情や風景のビジュアルを出すことで、温度感のあるストーリーを描くことが重要である、というアドバイスをもらいました。
北チームでは、このアドバイスと、「一人が一人に届ける強さ」「親密度」の2つのキーワードを軸にしながら構想を進めてきました。

そこで私たちは、北区内のフィールドワークはもちろんのこと、鷹峯の農園の方に振り売りについてお話を聞きに行ったり、地域の住民の方へのインタビューを特に多く行ってきました。

(振り売りを行なっている農園の方へのヒアリングへ。この日は、夏野菜が旬を迎える時期。オクラがたくさん!)

北区チームの特色は、メンバーが連携を取りながら、地域の方へのインタビューを多く行い、地域の方との実際の交流を大切にしながら「ローカルメディア」の構想を作り上げているところだと思います。

8/6は、メンバーと地域の方々との交流が、うまく活かされた形でプレゼンテーションできるように準備しているところです。
より具体的な形で構想案を提案できるように、ギリギリまで頑張っていきたいと思います。

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文・川上茉衣 (グループサポーター/北文化会館〈北区〉チーム 担当)

私たち右京チームは、全国的にも知名度の高い「百人一首」をローカルテーマとして設定しました。

「小倉百人一首」とは、平安後期から鎌倉初期に、藤原定家が右京区の小倉山で編んだものです。
そこには、洛中で詠まれた歌が、右京区内で編纂され「百人一首」となることによって、再び洛中の文化に影響を与えてきたという歴史があります。

さらに、右京区で生まれた「百人一首」は、日本古来の「歌」というメディアであると私たちは考えました。

そして、右京の外と関わりながら育まれた歌のメディアを、「チーム右京知らズ」を自称する、外モノの私たちにしかできないメディア作りの鍵として、構想を進めていきました。

ローカルテーマを選ぶ際、ディレクターの影山さんから、「『小倉百人一首』が右京区で成立したことだけでは説得力や必然性が足りない」という指摘を受けました。

そこで、なぜ右京区で「小倉百人一首」が成立したのか、また、どういった理由と経路で全国に広まっていったのか、そして、どのように日本文化に影響を及ぼしたのか…。
「百人一首」を現代の右京区のメディアテーマとする、誰もが納得できる背景を徹底的にリサーチしました。

リサーチは、フィールドワークと資料の収集を中心に進めました。特に右京区で活動されているキーパーソンとなる方々にお話をお聞きしたり、メンバー各自が資料をもとに右京区と百人一首について調べたりしました。

そうした中で、右京には、山間部・観光地・住宅地と大きく三つ分かれており、地域が持つ課題を一つにまとめるのか難しいのではないか?という議論にもなりました。

そこで私たちは、様々な方々が各々の気持ちを載せた百人一首を詠む「短歌会」を開くことを考えました。
地元に住んでいる方の悩み、自治会の思い、観光客の気持ち、右京で働いている方たちの気持ち、消費者の気持ち、家族、恋人、友達に関すること…などなど、
一人一人の思いを共有することで、地域にある課題を見つけ、その課題を解決に繋げていくことを目指します。

これまで多くのミーティングを重ねて、メンバーがリサーチを経て各自思っていることや考えていることを共有する中で、意見が対立したり、本当にこれでいいのか不安になることも多々ありました。
ですが、チームで協力しながら各自役割を分担することで、右京区で「百人一首」をテーマとしたプロジェクトを進めていくことの必然性の追求と、構想案の詳細を詰めています。

8月6日のプレゼンテーションでは、これまでのメンバーのリサーチと議論を踏まえた構想案を、右京チームらしくプレゼンテーションできるように、チーム一丸となってギリギリまで頑張ります!
私たち右京チームの構想案にご期待ください!!

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文・伊藤真菜・福谷咲奈(グループサポーター/右京ふれあい文化会館〈右京区〉担当)

\\ 実現性と具体性 //

7/22(土)に、第3回目のワークショップを開催しました。
ワークショップの前半には、8/6の公開プレゼンテーションを想定して、全5チームが15分間の構想発表を行いました。

会議室ぎゅうぎゅう詰めで、プレゼンテーション、そしてディレクターのレクチャーを受ける1日になりました。

午後には、アートディレクター 加藤、エディター 上條から参加者に向けてレクチャーを行いました。
8/6の公開プレゼンテーション、そしてそのあとの実施に向けて、自分たちの練っている「ローカルメディア」の構想を、いかにして多く人に伝え、実現していていくかが大事なポイントになってきます。

アートディレクター 加藤は、地域アートプロジェクトや芸術祭のアートディレクション、グラフィックデザインを多く手がけています。
これまで自身が関わったプロジェクトのアートディレクションについて、ポスターや広報物などを実例に挙げながら、レクチャーが進みました。
例えば、ロゴの制作では、プロジェクトが行われる地域の山や川などの地形をモチーフにして、そのプロジェクトの性格や佇まいを形作っていくのだそう。

各チームは、これから実現に向けて6月から深めてきたリサーチやアイデアを絞り、構想案をより具体的なかたちへと詰めていきます。
チーム自らのアイデアを、多くの人に向けてアウトプットをするとき、思い描く構想案にどんな性格や佇まいを持たせ、「どのように魅せていくのか」を考えなければならないということがよくわかります。

続いて、エディター上條からは、
雑誌や書籍が、読者の手元に届くまでのプロセスを例に、「出来事の動かし方」についてレクチャーがありました。
編集者として、自らが文章を執筆する際に日々気をつけているポイントや広報のしかたなど、具体的かつ即使える内容でした。

「企画を1人で考えるところから……本を発売してPRをするところまで考えて1冊の本をつくる。それが編集者!!」

1つのテーマを突き詰めて、新しい見方や価値を提案し、1冊の本を形作っていくプロセス。
そしてそのプロセスに並走する編集者の姿。
今回のCIRCULATION KYOTOで、地域と向き合いながら、新たな「価値」を見つけて、なにか形を作ろうとしている参加者にとって、編集と編集者について具体的に知ることは、非常に刺激的だったようです。

そして、プロジェクトディレクターの影山からは、構想案の実現に向けて、より具体的な「マネタイズ」についてレクチャーがありました。
各地で展開されているローカルメディアを例に、運営資金の調達方法などが紹介されました。
より具体的な金額が提示できると、構想案の実現性、具体性、現実味がグッとあがりますね。
上の写真の様子は、伏見チームがディレクター 影山と構想案について相談をしているところ。
こうした、ディレクターとの協働によって構想案をブラッシュアップしていきます。

こちらは北チーム。
北区に古くからある「振り売り」という行商文化をローカルテーマにしています。
メンバーが思い描くよりよい地域の姿と、持っている構想案を、より具体的なものに形作っていくために話し合いを重ねています。

こちらは右京チーム。
右京区の小倉山が発祥の地とされる「小倉百人一首」をローカルテーマに設定しているようです。
では、「小倉百人一首」を基に、どんな構想案にするのか、アイデアを深めていきます。
アートディレクター 加藤は、午前中に行なった右京チームのプレゼンテーション内容を見て、「ぞくぞくした!」とコメント。
午後からのチームディスカッションでは、参加者と共に構想案のブラッシュアップ中です。

各チーム、1ヶ月間の徹底したリサーチによって、担当する地域が持つ性質を掴んできた様子。

「なぜ、自分たちはこの地域で、このメディアを作るのか。」

その必然性を、より説得力をもった形でプレゼンテーションできるよう、言葉に落とし込んでいく作業も進んでいます。
そして、この日のレクチャーとディスカッションを経て、次は、構想の具体性と実現性を高めていきます。

さて、次回は8/5(土)は、「地域の課題と魅力を可視化する企画力」と題して、ディレクターと特別講師からのレクチャーを開催します。
そしていよいよ翌日、8/6(日)に控えた公開プレゼンテーション&ディスカッションに向けて、構想案を広く一般の方々にもお伝えできるように、資料作りおよびリハーサルを行います。

8/6(日)の公開プレゼンテーション&ディスカッションは一般公開イベントです。
みなさまお誘い合わせの上、ぜひプロジェクトメンバーの構想案発表を見にきてください!!
詳細はこちらから

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ローカルメディアづくりワークショップ 3
レクチャー&ディスカッション
「地域に入り込む取材・交渉・デザイン」
会場│ロームシアター京都
日時│2017年7月22日(土)10:00~12:30/14:00~18:00
講師│影山裕樹、加藤賢策、上條桂子、榊原充大

・全5チームのプレゼン、ディレクターから講評とディスカッション
・ローカルメディアレクチャー 4|加藤賢策(アートディレクター)
・ローカルメディアレクチャー 5|上條桂子(エディター)
・グループディスカッション

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文・写真 野澤美希(事務局/プロジェクトアシスタント)

10月 2017
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